
エコム赤外線ヒーター(EIRヒーター)は遠赤外線による均一で効率の良い加熱が可能です。
コーティング処理をしない独自構造により表面剥離がおきず、長期間安定した性能を維持できます。
- 特徴1最適化されたパネル形状
- フラットな全面パネルを採用、放射伝熱面積が大きく、高効率な加熱ができます。
最大ワット密度3.0W/cm² 最大表面温度450℃ での加熱ができます。
- 特徴2高い遠赤外線放射率
- 遠赤外線放射率のよい特殊な合金を採用、3.72~6.46μmの幅広い遠赤外放射域を得ることができます。内蔵熱電対でヒーター表面温度を最適にコントロールします。
【分光放射率とは】熱放射体の分光放射輝度と同じ温度の黒体の分光放射輝度の比率です。

※神奈川県産業技術センターの放射率測定による
- 特徴3長寿命
- 一般的なヒーターでは遠赤外線放射面にコーティング処理しているため熱剥離がおこってしまいますが、弊社ヒーターでは独自の構造のため剥離がありません。

EIRヒーター使用時の装置メリット
大幅な消費電力の削減
熱風加熱は空気を媒体としますが、遠赤外線加熱は放射により非加熱物を直接加熱するため、加熱効率が大きいです。そのため、短時間で効率の良い乾燥が可能となり、高速乾燥を実現します。
乾燥時間の短縮
遠赤外加熱において、放射エネルギーは絶対温度の4乗に比例します。また、熱源である放射板に特殊ステンレス合金を使用しているため、印加電力が小さくても放射効率が高く、幅広い被加熱物に効果的に吸熱されます。 従来の熱風循環方式に比べ大幅な時間短縮を実現します。
環境にやさしい
加熱方式が電気であるため、二酸化炭素(CO2)および排熱などが発生せず、環境への負荷を軽減しクリーンな環境を実現します。
高精度な温度制御
ヒーターに熱電対が内蔵されているため、高精度の温度管理が可能です。ヒーターは特殊ステンレス合金を採用しており、幅広い波長領域で安定した放射効率を保持します。特に産業分野で広く使用されている3~5μmの領域での遠赤外線放射率が80%以上です。また、熱風循環と遠赤外線を併用することで、良好な温度管理が得られます。
ラインの省スペース
乾燥時間が短縮できるため、乾燥炉の短いライン構成とインライン化が可能であり、大幅な省スペース化を実現します。EIRヒーターは、被乾燥物に全面直接放射するため、高効率乾燥が可能であり、ダクトヒーターを併用する従来の循環気化熱を利用する方式に比べて、装置全体の省スペース化を実現します。
EIRヒーターの特徴
高速乾燥
遠赤外線が直接、被乾燥物の内部に作用するため、短時間で効率のよい乾燥が可能となり、高速乾燥を実現します。
クリーン環境
電気による加熱方式のため、二酸化炭素(CO2)の排出がなく、環境への負荷を軽減し、クリーン環境を実現します。
長期メンテナンスフリー
遠赤外線放射板に 特殊ステンレス合金を採用しているため長時間性能の劣化がなく長期メンテナンスフリーを実現し、トータルランニングコストを削減します。
大幅な省エネ効果
熱源である遠赤外線放射板に特殊ステンレス合金を使用し、印加電力が小さくても放射効率の高く幅広い業界の被物質に効果的に吸熱されます。従来のセラミック材に比べ大きな省エネ効果を実現します。
ラインの省スペース化高速乾燥
高速加熱の短い乾燥路でラインを構成できるため、バッチ処理からインライン化が可能となり、大幅な省スペース化を実現します。EIRヒーターは、被乾燥物に前面直接放射するため、高効率乾燥が可能であり、ダクトヒーターを併用する従来の循環気化熱を利用する遠赤外線乾燥方式に比べて、装置全体の省スペース化を実現します。
ハイブリッド方式による超高速乾燥
プリント基板などのポストキュア処理の時間を大幅に短縮、生産効率をアップできる、遠赤外線(IR)と紫外線(UV)及び熱風循環を一台の装置に併用し、三つの力で超高速乾燥させるハイブリッドタイプ乾燥装置を提案できます。
幅広い用途に対応
「EIRヒーター」の最適温度コントロール機能により、一般産業用波長領域(3.46μm~6.46μm)の遠赤外線を放射することができるため、幅広い用途の被加温・乾燥物の吸引波長に合わせた効率の良い加温・乾燥処理を行います。
「EIRヒーター」のハイブリッド構成

「EIRヒーター」の外観部には、特殊ステンレス合金を使用し、特殊処理を施した遠赤外線放射板を採用し、さらに内部には当社独自の放熱機構を使用したハイブリッド構造を採用したため、高効率な遠赤外線放射体を実現。高温と空冷を繰り返す苛酷な作業環境下で使用されても、割れや剥離による性能の劣化がなく抜群の耐久性を備えております
テスト内容 | 熱衝撃テスト(A) (テスト後の放射特性) |
熱衝撃テスト(B) (テスト後の放射特性) |
塩水噴霧テスト (テスト後の放射特性) |
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放射板 | |||
EIRヒーター | 劣化無し (全放射率も変化無し) |
熱変化はあるが 表面の変化無し |
錆の発生なく耐食性良好 (全放射率も変化無し) |
SUS 304 (AL2O23・SiO2系塗料) |
劣化が進行し、退色する (全放射率の低下が認められる) |
全体に黄白色に変色 (全体的に割れ、剥がれ発生) |
劣化が徐々に進行し錆が発生する (全放射率も低下する) |
SUS 304 (AL2O23・TiO2系容射) |
外観劣化は認められない (全放射率が低下する) |
黒灰色で熱変形あり全体的にまばらで、かつ凹凸のケバ立ちが発生 | 全面、著しく発錆 (全放射率は変化無し) |
SUS 304 (AL2O23・SiO2系容剤 SI樹脂吹付け) |
外観劣化が著しく進行 (全放射率が低下) |
全体的に白濁し変形あり、表面に細かい気孔、凹凸ケバ立ちが発生、一部剥離も発生 | 全面、著しく発錆 (全放射率は低下) |
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適用波長帯
EIR ヒータはフラットパネルを採用しているためワークに関して均一な加熱が可能であり凹凸の少ないワークに対しては特に大きな効果を発揮することがテストで証明されています。装置での採用実績としては特に樹脂・接着剤の硬化や樹脂のアニール処理が多くあります。埃の付着を嫌う加熱工程にも適しており、従来の熱風方式では難しいワークにも効果的です。
ただし、ワークにより波長が異なるため、適した条件を選定するのが難しいという点があります。急激に昇温する影響でオーバーシュートや温度分布のばらつきなどが発生します。この点に関しては、弊社にテスト装置をご用意しておりますので様々なパラメータを変更してベストの加熱状態を探すことが可能です。
EIRヒーターの表面温度と放射波長帯の関係
放射波長 (μm) | 表面温度 (℃) | 代表的な用途 |
---|---|---|
6.46 | 172 | 木材の乾燥、プラスティックの塗装乾燥、エポキシ系樹脂の乾燥など |
6.24 | 188 | 産業機械類の乾燥、合板の塗装乾燥、予備乾燥など |
5.99 | 207 | アクリル、アルキッド、ウレタン系等の塗装乾燥など |
5.50 | 250 | プラスティックの塗装乾燥など |
5.35 | 265 | 生鮮食料品の乾燥、家具類の乾燥、プラスティックの塗料の乾燥など |
5.16 | 285 | 金属印刷の乾燥、産業機械類の乾燥など |
4.69 | 340 | プラスティックの塗装乾燥など |
4.44 | 357 | プリント基盤の乾燥、染料の乾燥、カラー印刷・金属印刷の乾燥など |
4.27 | 400 | 金属と合板の接着剤乾燥、石膏ボード乾燥、自動車塗装乾燥など |
3.98 | 450 | 金属と合板の接着剤乾燥、耐久ボードの樹脂加工の乾燥など |
3.82 | 480 | 粉体塗装の乾燥など |
3.72 | 500 | 新車修正焼付、粉体塗装の乾燥、家電製品の乾燥、水切り乾燥など |
EIRヒーターの利用分野
電子 | プリント基板の乾燥・加湿、レジスト・マーキングインクのプレキュア・ポストキュア、各種回路印刷の乾燥、メッキレジストの乾燥 |
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印刷 | 金属・シルク・樹脂・スクリーン・プリント印刷、ニスの乾燥、各種ステッカー印刷の乾燥 |
食品 | 鰹節・干物・魚介類の乾燥、乾燥野菜の製造、豆茶の焙煎など |
機械 | 地下パテ、表面塗装の乾燥、各種接着剤の乾燥、各種シュリンク装置、各種ラミネーター |
自動車 | 地下パテ、表面焼付塗装、各種樹脂部品の加湿、板金塗装の乾燥、樹脂プレフ、成形前の加熱 |
林業 | 温室栽培、苗の育成、ハーブ・たばこ・茶葉の乾燥 |
建材 | 製材・合板の接着乾燥、内装・床材の乾燥、プリント乾燥 |
医療 | 温熱治療、リハビリテーション、サウナなど |
ヒーターのメンテナンス
エコムでは年間700以上の熱設備の定期点検を行っていますが、ガスを使用した乾燥炉の使用するお客様は定期点検を実施することが多く、それに比較すると電気式乾燥炉を使用しているお客様は定期点検の重要性を周知していないケースが多いと感じます。ガスは爆発の可能性がありこわいという意見なのかもしれません。
しかし、乾燥設備に関しては労働安全衛生法にて法定点検が定められており、定格消費電力が 10kW 以上の装置に関しては乾燥炉作業主任者を選任しなければいけません。
特にヒーターは高温になることから、耐熱と絶縁が大事になってきます。エコムの定期点検では、電流値・漏電とともにとくに絶縁の確認を実施いたします。
ヒーターのみでなく、ヒーターの線の絶縁不良もあります。

FAQ/よくある質問
- 赤外線を利用して処理時間を短縮し、アニール工程をインライン化したい
- 赤外線加熱は輻射加熱なので、家庭用電子レンジと同様に分子 を直接振動させます。対流加熱(熱風)に比べると、高速な昇温が可 能という特徴があります。産業用として使われる領域は 2.5μm~30μm です。また、被加熱物によって、固有の吸収特性があります。この吸収特性に見合った適正なヒーターを選択することが、最も処理時間の短縮に繋がります。エコムでは近赤外線・中赤外線・遠赤外線の各種ヒーターによるテストが可能です。ぜひ一度ご相談ください。
- 中赤外線ヒーターを使用した急速昇温のテストをしたい
- 樹脂・プラスチックの成形品は遠赤外線を吸収する特性を持っています。その吸収特性はワークにより異なりますが、ほぼ中赤外線から遠赤外線領域(3~15μm)に集中しています。遠赤外線を使ったアニール処理はこの領域のピーク波長を選択し、ワーク自体の分子運動を活発にすることで短時間での処理を可能にします。ワークの材質・形状によって昇温スピードが異なるため、確認テストを実施し、特性を見極めます。エコムにお任せください。
- ロータリーキルン乾燥から平炉による遠赤ヒーターへの置換えしたい
- 熱処理の工法変換検証にエコムのテストセンターをご利用ください。炉内で火災が発生するなどの問題が起きていたロータリーキルンでしたが、遠赤ヒーターを使用したテストの結果、ロータリーキルンからの置換えができることが判明した実績もあります。