「過熱蒸気テスト装置」導入のお知らせ

当社テクニカルセンター(ETC)ではヒートトライアル事業として、加熱・焼き嵌め・乾燥・硬化処理など様々な加熱試験を受注しており、「省エネ、省スペース、省時間(時短)」と言ったお客様のカーボンニュートラルの要請に応えるべく、テスト装置の拡充に努めております。お客様が加熱したい製品を持ち込んで種々の加熱処理を行うヒートトライアルにおいて、過熱蒸気を用いた加熱処理が行えるようにテスト機を2025年1月に導入します。

■過熱蒸気テスト装置の概要

ガスバーナ、電気ヒータ、蒸気ヒータなどの熱源の選択肢として過熱蒸気があります。実機ベースでのテスト機を設置し、試験を行うことで、様々な業界への展開を目指します。過熱蒸気により短時間での熱処理を行うことができます。今回バッチ式と連続式の2種類のテスト装置を導入しており、お客様の様々なテスト依頼にお応えします。

  バッチ炉 連続炉
炉内有効寸法 W400xD400xH400mm W350xD1500xH100mm
蒸気量 10~40kg/h 20~40kg/h
使用温度 MAX500℃ MAX350℃

本テスト炉の特徴は、以下の通りです。

  1. 短時間での熱処理

    空気による熱風加熱で利用される伝熱は主に対流伝熱のみですが、過熱蒸気はこれに加え凝縮熱、放射熱を利用します。これは高温空気にはない蒸気ならではの特性で、単位量あたりの保持熱量が非常に大きく、この熱量を利用し短時間での熱処理を可能とします。

  2. 低酸素雰囲気の熱処理

    過熱蒸気は水を加熱した蒸気であるため、空気(酸素)がほとんど含まれません。
    そのため酸化しやすい製品や、発火しやすい製品などの加熱では酸化、火災を防ぎながら熱処理を行うことができます。

■ヒートトライアル事業について

株式会社エコムが運営する施設「ヒートスクエア」内にあるテクニカルセンター(ETC)では、熱処理における最適な条件設定を実現するため複数台のテスト用加熱炉を常設し、アルミ、セラミック、鉄、ガラスといったワークの熱処理加熱テスト「ヒートトライアル」事業を行っています。乾燥炉、焼成炉、熱処理炉などあらゆる工業炉に対応し、お客様が持ち込んだワークを、国家資格であるエネルギー管理士を有した当社のスタッフと共に加熱条件の生産プロセスを見直す実証実験を行うのが「ヒートトライアル」です。既存の熱処理と比較して50%の省エネ、時間短縮に成功した事例もあります。

新設備の導入を検討する際、多くのお客様は生産性を向上させるため、①省エネ②省スペース③品質向上をめざしています。その鍵となるのが処理時間の短縮です。当社のテクニカルセンターでは、経験豊富なスタッフがお客様と共にそのワークにとって最適な条件を求めてテストを重ねます。

また、加熱条件データの提供だけでなく、そこで導かれた新しい熱処理条件をもとに、コンパクトでより省エネ、時短可能な生産方式を独自設計し、生産設備の開発代行を提案することもしています。

常設された最新のテスト装置で最適な加熱プロセスを提案

■新拠点「ヒートスクエア」のオープンについて

当社の新たな拠点として 2022年9月に浜松市北区平口に立ち上げられ、旧本社工場で行われていたテクニカルセンター事業を移して「ヒートスクエア」としてオープンしました。新設テクニカルセンターでは空調の完備により外気冷却試験の精度が上がり、加熱試験はもとより冷却試験についての検証も可能。また、当社初となるクリーンルームを新設し、従来ではできなかったクリーンルーム対応装置の製作・組立が可能となっています。その他、カフェスタイルの食堂やソファ席のある会議室などを配置することで、社員の個性を尊重し、相互理解を深め、多様な働き方を実現できる職場・強いチームを目指しています。

当設備の概要は以下の通りです。

  1. ヒートトライアルの拠点としてお客様の開発をサポート
  2. ショールームとしてお客様との情報交換の場
  3. 自社メンテナンス教育、セミナー開催などの拠点
  4. 省エネ環境デバイスの開発技術拠点