SDGsやカーボンニュートラルを実現するためには熱エネルギーを無駄なく利用することが必要不可欠であり、熱利用において熱交換器は重要な機器の1つです。今回は熱交換器の種類や性能について解説します。
- 熱交換機とは
- 熱交換器とは高温の流体から低温の流体へ熱を伝える装置です。
高温楳体には一般的に燃焼ガス、水蒸気、熱媒油、温水等が用いられ、排熱の回収や冷暖房等に利用されます。
熱交換器の分類
直接接触式 | 熱交換する流体が直接触れ合う熱交換器で,伝熱壁が存在しません。 実用例:冷却塔等。 |
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隔板式 | 熱交換する流体同士を管や板等を用いて隔離した熱交換器。熱媒同士が混ざり合うことがない為、加熱設備等にもよく利用されています。隔板の形状によってシェル&チューブ式、プレート式、フィンチューブ式などの種類があります。 |
蓄熱式 | 蓄熱材に低温流体と高温流体を交互に通過させることで熱のやり取りを行う方式です。弁により流体の切り替えを行う切替弁式や、蓄熱材を回転させる回転式などがあります。リジェネレイティブバーナに使用される熱交換器がこのタイプです。 |
隔板式熱交換器の種類
隔板式では流体の方向により並流形、向流形、直交形の大きく3つに分類されます。
- 並流形
- 流体が同一方向に流れるもの
- 向流形
- 流体の方向が向かい合って流れるもの。
- 直交形
- 流体の方向が直交に交わるもの。
温度効率の良さは 向流>直交>並流 の順となります。

熱交換器では仕様温度、サイズ、耐久性等、その用途に応じて様々な形状のものが存在します。
特にシェル&チューブタイプの熱交換器は加熱、冷却などさまざまな使用方法で効率がよく、古くから利用されている熱交換器です。
また、加熱炉などで省エネルギーを目的として排ガスの熱エネルギーを用いて空気予熱を行う熱交換器をレキュペレータと呼び、無駄な熱損失を減らし、CO2の削減に貢献する仕組みとして利用されています。

熱交換器による排熱利用事例
熱交換器による排熱利用には温度帯や用途によってさまざまなものがあります。工業炉では付随設備の水や空気の予熱に使われることが多く、以下のような例があります。
- ボイラーの排熱を温水加熱に利用
- アルミ熱処理炉の排熱を焼入水槽の加熱に使用
- 熱処理炉の排熱をバーナ燃焼エアの予熱に使用
熱交換器搭載省バーナecoNext
ecoNextは排気の排熱を回収して燃焼エアの予熱に使用しています。右図のように熱交不使用時900℃の排気をecoNextを使用することで500℃まで低下させることができ、Δ400℃分の熱量を再利用することができます。その場で排熱を利用するため、熱移動のロスも少なく、SDGs、カーボンニュートラルにも大きく貢献します。

- 【高温空気燃焼について】
- 通常燃焼では燃焼エアを予熱すると火炎温度が上昇し、窒素酸化物(サーマルNOx)が発生します。ecoNext-Pでは火炎温度を抑える燃焼技術である高温空気燃焼を行うことでNOxを抑制しています。特許燃焼技術により省エネとNOx低減を同時に実現します。

熱交換器の保守について

熱交換器を加熱設備に搭載することで、燃焼効率の向上、省エネ、燃料費の削減につながります。
しかし、定期的なメンテナンスの怠りにより熱交換器の性能を十分に発揮できていない場合があります。シェル&チューブ式熱交換器では細い伝熱管を多く使用しており、写真のようにススの付着やごみの詰まりがあると熱交換効率が大きく低下します。熱交換器の性能を発揮できないだけでなく、燃焼バランスを崩すことにもつながるため、定期的な熱交換器のメンテナンスを推奨します。