加熱テスト目的

プレス成形工程のプリヒート(予熱)に遠赤外線加熱装置を使用しているメーカーから、生産能力増強に向けた装置改修の相談がありました。

改修案の概要は「ヒーター出力を上げて加熱効率を高める」というもの。生産スループットを上げるための合理的なアプローチです。

しかしエコムの技術者がその方式を検討したところ、見過ごせないリスクを察知しました。出力を上げた状態で万が一ラインが停止した場合、搬送中のマット材が炉内に留まり、過剰加熱による炎上が起きうると判断したのです。

そこでエコムは、改修前の段階でそのリスクを実機で検証することを提案。ヒートトライアルにより、炎上が実際に起こりうるかどうかを、データとして立証することになりました。

マット材加熱限界試験の背景と相談内容

試験内容

試験には遠赤外線アニール炉を使用しました。改修後を想定した条件として、現行装置のヒーター最大温度に合わせてIRヒーターを設定します。

  • マット材を炉内に投入
  • ヒーター最大温度で加熱を継続(ラインが停止した状態を想定)
  • 炎上・融解など何らかの変化が発生するまで観察
  • 変化の発生を確認後、速やかに取り出し・安全を確保

遠赤外線による均一な輻射加熱により、実際の運用環境を忠実に再現。改修後の最悪ケースを安全な試験環境でシミュレートしました。

遠赤外線アニール炉によるマット材加熱試験

加熱テスト結果

エコムの予測どおり、試験では製品が炎上してしまう結果となりました。

炎上後は速やかに取り出し消火しましたが、IRヒーターは煤だらけとなりました。

この試験結果は現実の製造ラインで炎上が起こりうることを、データとして明確に示すものとなりました。この結果を設計にフィードバックし、対策を盛り込んだ安全な仕様への見直しにつなげることができました。

この試験によって得られたもの

  1. リスクの可視化 「炎上するかもしれない」という懸念を、実証データとして客観的に立証
  2. 設計変更の根拠 感覚や推測ではなく、試験結果にもとづいた安全仕様への見直しが可能に

エコムができること:試験だけではない、加熱プロセスの技術コンサルティング

今回のポイントは、エコムが「試験を請け負った」だけでなく、お客様の構想を技術的に評価し、潜在リスクを先回りして指摘した点にあります。

エコムは長年にわたる加熱装置の設計・製造・ヒートトライアルの実績から、素材・温度・加熱方式の組み合わせによって生じうるリスクを予見します。だからこそ、構想を聞いた段階で「この条件はリスクがあるかもしれない」と察知し、改修前に検証を提案することができました。

このような形で、エコムのヒートトライアルは次のような場面でお役立ていただけます。

  • 設備の仕様変更・能力増強を検討しているが、新条件での安全性が不確かなとき
  • 製品・材料が変わったことによる、条件変更を確認したいとき
  • 「燃えない?」「溶けない?」「変質しない?」といった加熱限界を実機で把握したいとき
  • 構想段階から安全対策の根拠となるデータを揃えておきたいとき

試験前の相談から、結果の考察・対策提案まで。加熱プロセスに関わる技術課題はエコムにご相談ください。